訪問歯科診療とは?自宅で受けられる歯科治療の対象者と診療内容について

こんにちは。
小田原歯科診療所、院長の伊藤です。
「最近、歯医者に自力で通うのが大変になってきた…」「介護が必要な家族がいるが、なかなか歯医者に連れて行けない…」など、歯医者への通院に関するお悩みはありませんか?
実は、ご自宅や介護施設などで歯科治療が受けられる「訪問歯科診療」という医療サービスがあります。
今回は、あまり知られていない訪問歯科診療の対象者や診療内容についてご紹介します。
12月18日は「『食べたい』を支える訪問歯科診療の日」
12月18日は「『食べたい』を支える訪問歯科診療の日」です。
この記念日は、「訪問歯科診療」についてさらに多くの人に知ってもらい、いつまでもいい歯を保つことで健康寿命を延ばし、生活の質を上げることを目的にデンタルサポート株式会社が制定したものです。日付は「い(1)つ(2)までも、いい(1)は(8)」の語呂合わせです。
訪問歯科診療とは
訪問歯科診療とは「身体的・精神的な問題で通院が困難な方」を対象に、歯科医師や歯科衛生士がご自宅や介護施設などを定期的に訪問して診療を行う医療サービスです。これは診療計画に基づき継続的に実施されるものであり、緊急時に一時的に行われる「往診」とは区別されます。
訪問歯科診療は、次のような方が対象となります。
- 知的障害や精神障害をお持ちの方
- 寝たきり状態で歯医者への通院ができない方
- 家族などの搬送の助けを借りて通院している方
なお、訪問歯科診療は、条件を満たせば年齢にかかわらず利用できます。
訪問歯科診療の利用条件
訪問歯科診療は、健康保険や介護保険が利用できます。
ただし、保険を利用するには、「患者さんが療養生活を送っているご自宅」や「入所中の介護施設」などへの訪問であること、その場所が歯科医院から半径16km以内であることが条件となります。日帰りで利用される通所施設(デイサービス、デイケアなど)は、宿泊場所ではないことから、保険の対象外となります。
訪問歯科診療の診療内容
訪問歯科では、以下のような診療を受けることができます。
歯科治療
訪問歯科診療では、患者さんの体調を考慮しながら、虫歯や歯周病の治療を行います。虫歯や歯周病は初期症状では痛みなどがあまりないため、進行に気付きにくく、定期的なチェックが欠かせません。
入れ歯の調整・製作
訪問歯科診療でも入れ歯の調整や製作が可能です。合わない入れ歯を使い続けている場合や多くの歯を失っている場合には、食べ物をうまく噛めません。
しっかり噛むことは食事に必要なだけでなく、脳への刺激になるため認知症予防にもつながります。
口腔清掃
患者さんの体調にあわせて、口腔清掃を行います。この口腔清掃には、お口の中の細菌を減らして誤嚥性肺炎を予防するという重要な目的があります。
※誤嚥性肺炎:嚥下機能障害によって食べ物や唾液、胃液などが気管に入ってしまい、お口の中の細菌が肺に入り込んで起こる肺炎です。
また、口腔清掃はお口がさっぱりして食事がおいしく感じられるといった効果も期待できます。
入れ歯や部分入れ歯をお使いの場合は、それらのチェックやケアを行います。
口腔リハビリテーション
療養中の患者さんにとって重要な診療内容のひとつが、お口の機能回復のリハビリです。
例えば、脳梗塞などを起こした方は口腔機能が低下し、お口を使う機会が減ることで噛む力や飲み込む力(嚥下機能)も弱くなります。その結果、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。
そのため、唇や頬・舌を適切に刺激したり、口腔体操を行なったりするなど、患者さん一人ひとりの状態に合わせたリハビリプログラムを提供します。
まとめ
当院では、訪問歯科診療をご検討の方へ無料の歯科相談を実施しています。「自分や家族は対象になるのか」「どのような治療を受けられるのか」など、どのような質問でも遠慮なくご相談ください。

